【具体例あり】内定者が音信不通になった場合の対処法とは|音信不通にならないための対策も解説

       

内定をだした後に、内定者から内定承諾の連絡が来ない場合、企業は、どんな対応をとればよいのでしょうか。

内定者が音信不通になった場合、「内定を勝手に取り消してもいいのか。」「仮に内定を取り消した後のリスクはなにか」などの様々な悩みが生まれます。

本記事では、内定者が音信不通になった場合の適切な対処法からそうならないための対策までを紹介します。

  • 内定を取り消したいが、法的リスクが怖い
  • 音信不通にならないための対策方法を知りたい

このような悩みをお持ちの方はぜひ参考にしてください。

内定者が音信不通になった場合の考えられるリスク

内定者が音信不通になった場合には様々なリスクが考えられます。以下にそれぞれのリスクについて解説します。

  • 内定辞退とみなす際の法的リスク
  • 採用プロセスが遅延する
  • 人員不足によるコスト増加

内定辞退とみなす際の法的リスク

内定承諾の連絡がない場合、内定辞退とみなす判断が求められます。

内定取り消しを行う前には、採用プロセスに関する法的義務や、内定取り消しに関連する可能性のあるリスクを十分に理解することが重要です。以下に、内定取り消しに関連した法律を列挙します。

労働契約法16条
「解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を
濫用したものとして、無効とする」いわゆる解雇権濫用法理を定めています。

労働省発職第134号(厚生労働省の指針)
「新規学校卒業者の採用に関する指針」は、内定を取り消す際に会社が留意すべき事項として、以下
を挙げています。

・事業主は、採用内定を取り消さないものとする。
・事業主は、採用内定取り消し防止のため、最大限の経営努力を行う等あらゆる手段を講ずる。
・事業主は、やむを得ない事情により内定取り消しをせざるを得ない場合は、事前にハローワークへ
通知し、ハローワークからの指導を尊重する。この場合、労基法の解雇予告と休業手当の規定に抵触
しないよう留意する。
・内定取り消しの対象となった学生等の就職先の確保について最大限の努力を行う。
・補償等の要求には誠意をもって対応する。

新卒内定者の取り消しを行う場合、ハローワークに通知することが厚生労働省の通達によって求められています。その際に「内定取り消しに関する対応が不十分なケース」と判断されてしまうと、会社名と通知の内容が公表されてしまう可能性があります。以下にそのケースに該当する例を紹介します。

・経営不振や部門の縮小といった企業側の都合で取り消しを行ったケース

・面接や試験でのミスや、選考基準の変更によって取り消しを行ったケース

・内定取り消しが突然行われ、内定者が次の行動を起こすための合理的な期間が与えられていないケ
ース

・2年続けて内定取り消しを行ったケース

・同一年度内に10人以上の内定取り消しを行ったケース

会社名と通知の内容が公表されてしまった場合、学生が応募しづらいと考えるようになり、応募者の母集団形成がうまくいかない可能性が生まれます。内定取り消しは慎重に対応していく必要があります。

また、日本においては、内定の取り消しは解雇と同様に扱われることが多く、不当な内定取り消しと見なされた場合、内定者が損害賠償を求めることができます。

採用プロセスが遅延する

内定者が音信不通になる場合、採用プロセス全体が遅延する可能性が考えられます。内定者の補填として、再度の求人活動や選考プロセスが必要になり、時間とリソースが費やされます

また、補填しようと再度就職活動を始めても、他の候補者は、優秀な人材ほど就職先が決まってし待っている場合が多く、適切な人材を見つけることが困難になると考えられます。その結果、採用プロセスが長引く可能性があります。

人員不足によるコスト増加

内定者が音信不通になることで、内定者の人数が減り、人員不足となる場合が考えられます。人員不足になった場合に発生するコストについて以下に挙げます。

  • 再採用にかかる費用
    新たな求人広告掲載費用や、面接の手配にかかるコストなどが考えられます。また、人事担当者の手間や仕事も増えることが考えられます。
  • 研修や教育の再投資
    すでに実施した研修を、新たな内定者に実施する必要があります。また、過去に実施した研修にかかったコストは無駄になります。
  • 既存の社員の業務増加
    音信不通の内定者が予定していたポジションに就かない場合、その業務を担当する人員が不足する可能性があります。それによる残業が増えることによる人件費の増加だけでなく、業務負担がよりかかる可能性が考えられます。

内定者が音信不通になった場合の対処方法とは

内定者が音信不通になった場合の対処方法は以下の3つの場面で分けられます。それぞれの場面で適した対応について解説します。

  • 初期対応
  • 社内での対応
  • 連絡合った場合の対応

初期対応

内定者から内定承諾の連絡が来ないと発覚した場合、初期対応として、メールや電話での再連絡を図りましょう。内定者から連絡が来ない場合、最も多い原因として、返信期限の誤解や、メールのやり取りの際に発生するミスであることが考えられます。

例えば、

  • メールの迷惑フォルダに入ってしまっていて、内定者が気付かなかった
  • 単純に返信期限を間違えていた

などの原因が考えられます。積極的で適切な間隔での、メールや電話でのリマインドを行いましょう。また、連絡手段を複数個用意しておくことで、内定者とコミュニケーションが取りやすくなります。

メールで再連絡を図る場合、以下の点に注意して作成しましょう。

  • 緊急性を強調する
  • 再連絡の期限を設定する
  • 敬意と配慮を心がけた文章

緊急性を強調する

内定者が連絡の重要性を認識できるように、緊急性を強調しましょう。緊急性を強調するためには、メールの内容や構成においてポイントを抑えましょう。以下に緊急性を強調する方法を挙げました。

  • 件名に「重要」や「緊急」を含める
    例:「【重要】内定承諾に関するご確認」
  • 状況の重要性を冒頭で説明する
    例:「この度は弊社の内定に関しまして、ご承諾のご連絡をいただけていない状況が続いております。」
  • 重要性を強調するフレーズを使用する
    例:「お急ぎのご確認をお願い申し上げます。」、「早急にご対応いただけますようお願い申し上げます。」

再連絡の期限を設定する

期限を設定することによって、内定者にとっての優先事項であることを明確にして、速やかな対応を促します。また、期限を設定することで、スケジュール管理をすることができ、円滑に採用プロセスを進行することができます。以下に期限を設ける際に気を付けるポイントについて解説します。

  • 具体的な日付を設定する
    例:「[再連絡期限の日付]までにご返信いただけますようお願い申し上げます。」
  • 柔軟性を示す
    内定者が特別な事情を抱えている場合に備えて、必要に応じて柔軟に対応する姿勢を示すことも重要です。

敬意と配慮を心がけた文章

内定者に対する敬意と配慮を示すことで、企業の印象を良くして、内定者との関係を悪化させないようにすることができます。また、内定者が特別な事情で返信できていない場合や、コミュニケーションミスの可能性もあるため、非難せず、丁寧な言葉遣いで接することで、誤解や不安を軽減できます。以下に配慮した文章を作成するポイントについて解説します。

  • 丁寧な言葉遣いを心がける
    例:「お忙しいところ恐縮ですが、ご確認いただけますようお願い申し上げます。」
  • 理解と共感を示す
    例: 「メールが迷惑フォルダに振り分けられている可能性も考えられますので、ご確認をお願い申し上げます。」

社内での対応

内定者が音信不通になった場合の社内の対応を以下に解説します。

  • 社内に共有する
  • 人材の補填

社内に共有する

音信不通の内定者が出た場合、速やかに社内に共有しましょう。早めに社内に共有することで、対策を講じることができます

まず、内定者と連絡がとれない状況を正確に把握しましょう。メールや電話で複数回連絡を試みて、その結果を記録しておくことが重要です。その結果を、人事担当者など関係者に漏れなく、伝達しましょう。

その後、音信不通の可能性のある原因をリストアップし、内部で検討します。過去の事例や採用プロセスでのフィードバックを参考にすることができます。内定者の連絡が取れない場合に備えた代替案やリスクヘッジ策を考えます。

例えば、採用プロセスのどの部分に問題があるのかを分析し、改善点を洗い出すことが求められます。

人材の補填

人材の補填案として、すでに選考プロセスを経た候補者リストを確認し、内定者が辞退した場合の補充要員を検討します

しかし、その候補者は、他社の内定が決まっている可能性もあるため、必要に応じて、すぐに新たな募集を開始しましょう。求人広告の内容を見直し、魅力的な条件を提示することで新たな候補者を引き付けることができます。

内定者が音信不通になる原因

内定者が音信不通になるには、なんらかの原因が必ずあります。原因を知ることで新たな対策をとることができます。以下にその原因について解説します。

  • 他社の内定が決まった
  • 勤務条件に不安がある
  • コミュニケーションに不安がある

他社の内定が決まった

内定者が音信不通になる原因として、第一に他社の内定が決まったことが考えられます。

他の企業から内定を受けた場合、以下の理由で連絡が途絶える可能性が考えられます。

待遇がいい
他社のほうが給与や福利厚生、職場環境がよいと内定者が判断した場合、連絡が途絶える可能性があ
ります。

職務内容が魅力的
提供される職務内容やキャリアパスが自社よりも魅力的であると感じた場合。

企業のブランドと価値
内定者が他社の方が自身のキャリアパスにプラスになると判断した場合。

これらの原因は、志望順位の低さにつながっています。以下は23〜24卒の就活生が内定を辞退した理由をグラフで示します。

出典:株式会社インタツアー『【23~24卒 内定承諾・辞退の決定要因調査】23卒の75%は選考・内定辞退経験あり。辞退の決定的要因は「面接官の印象が悪い」

このグラフからもわかる通り、「他企業の内定が決まった・他企業が魅力的だった」が内定辞退の理由として最も多いことが読み取れます。

ベンチャー企業などでは、面接に幹部が出席することもあり、就活生に、「自分のことを必要してくれている」と感じさせることができると、志望順位も上がってくるでしょう。

勤務条件に不安がある

内定者が勤務条件に不安を感じている場合、音信不通となる場合が考えられます。上記のグラフにもある通り、「勤務条件が自分の希望と合わないとわかったから」といった理由は3位となっています。以下に内定者が不安と感じる勤務条件について詳しく解説します。

労働時間や休暇制度
労働時間が長い、休暇が取りにくいなどの情報がある場合、不安を感じることがあります。

給与や昇進制度の不透明さ
給与や昇進制度が他社よりも不透明であると、不安を感じる場合があります。

勤務地の不便さ
勤務地が通勤に不便な場所にあると、内定者が他の選択肢を検討することがあります。

副業が可能か
今の時代、副業が可能であることも希望条件に含まれている就活生が多いです。副業が禁止の場合、
初めに共有しておきましょう。

コミュニケーションに不安がある

企業とのコミュニケーションに不安を感じた場合も、音信不通につながります。うまくコミュニケーションがとれないことは、内定者の不満を煽ることになります。以下にコミュニケーションが不安と感じる例を紹介します。

採用プロセス中の対応が悪い
採用プロセス中の面接対応者や、オープンカンパニーやインターン中の社員の印象が悪い場合。

社内の雰囲気や文化が合わない
面接や説明会で感じた社内の雰囲気が自身に合わないと感じた場合。

不明瞭な情報提供
勤務内容や待遇について、明確な情報が提供されない場合、信頼感を損なうことがあります。
また、メールでの問い合わせた際の返信スピードや内容の質も関わってきます。

内定者が音信不通にならないための対策

内定者が音信不通にならないための対策を以下に紹介します。

  • コミュニケーション策を強化する
  • 契約条件を明確に伝える
  • 内定者体験談の収集と改善

コミュニケーション策を強化する

上記に示した通り、内定者が音信不通になる原因として、コミュニケーションの不安があります。

また、コミュニケーションを適切な距離と頻度で行っていれば、個人的な事情がない限りは、音信不通になることはないと言えるでしょう。以下に、適切なコミュニケーションの取り方を紹介します。

  • 定期的な連絡をする
  • コミュニケーションの頻度を上げる
  • イベントの開催を行う

定期的な連絡をする

フォローアップメールやビデオ電話などで定期的な連絡を心がけましょう。そういった連絡をすることで、内定者の入社前の不安や疑問点を解消することができます。また、適切な連絡は、信頼関係を構築することができます。

コミュニケーションの頻度を上げる

内定者の信頼を得るためにも、コミュニケーションの頻度を上げることが重要です。しかし、頻繁すぎる連絡は、内定者のストレスになる場合があります。週に1度、月に2度程度で、内定者の希望するコミュニケーション方法(メール、電話、zoom)と頻度でコミュニケーションを図りましょう。

イベントの開催を行う

内定者同士や企業の先輩社員との懇親会などを開き、社内の雰囲気を知ってもらうイベントを開催しましょう。入社前に内定者と接点を減らさないことが、音信不通を避ける方法として有効です。

契約条件を明確に伝える

内定後に契約条件の齟齬があった場合、内定承諾がされないことがあります。よって、内定を出す前に、契約条件を明確に伝えることが必要です。そういったリスクを回避するために、契約条件を明確に伝える場を設けることが重要です。

例えば、 契約書を確認する機会として、契約内容の確認面談や説明会を設けます。内定者が疑問や不安を感じることがないように対応します。そのほかにも、よくある質問をまとめたFAQを作成し、内定者が不安を感じた際にすぐに参照できるようにしましょう。

内定者体験談の収集と改善

内定者体験談の収集と改善は、企業が採用プロセスを見直し、内定者との関係を強化するために重要な取り組みです

内定者の体験を理解し、得られたフィードバックをもとに改善を行うことで、企業はより良い採用活動を実現できます。以下に、その具体的な手法とステップをまとめます。

  1. アンケートやフィードバックの実施
  2. データの整理と分析
  3. 改善策の提案・実行

1.アンケートやフィードバックの実施

内定者に対して、採用プロセスや内定後のフォローに関するアンケートを定期的に実施します。また、匿名で収集することで、内定者から率直な意見を収集することができます。

他にも、個別インタビューやグループディスカッションで、具体的な課題や共通の意見を聞くことができます。

2.データの整理と分析

アンケート結果やフィードバック内容を分析し、内定者が感じた問題点や改善ポイントを明確化します。

特定した問題点に対して、影響の大きさなどから、優先順位を付け、改善すべき事項をリストアップすると、改善すべき点がわかります。

3.改善策の提案・実行

内定者から収集し、分析した課題に対する具体的な改善策を策定し、実行可能なプランを作成しましょう。この際、期限と責任者を明確に定めることが重要です。

採用プロセスの改善は一度きりの取り組みではなく、継続的に行うことで、より良くなっていくものです。内定者体験談の収集と改善を通じて、企業はより良い採用プロセスを構築し、内定者との信頼関係を強化することができます。

採用アウトソーシングならCrowd Moove

引用:株式会社Crowd Moove

内定者が音信不通にならないためには、適切な採用プロセスを行う必要があります。

Crowd Mooveでは、「Crowd Mooveアシスタント」というアウトソーシングサービスを提供しており、バックオフィスを初めとした様々な業務をアウトソーシングできます。また、どんな業務でも一律1時間2,200円でアウトソーシングすることができ、専属PMが一気通貫して担当します。

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まとめ

本記事では、内定者が音信不通になった際の対処法から対策までを解説しました。

内定者が音信不通になると、法的リスク、コストの増加、担当社の業務負担の増加など様々なデメリットが考えられます。

内定者を音信不通にさせないために、コミュニケーションの強化や、改善策の提案と実行などの企業の努力が必要です。

これらの対策を講じることで、内定者が音信不通になるリスクを低減するだけでなく、採用プロセスの円滑化と企業の信頼性向上につながります。継続的に内定者のフィードバックを取り入れ、改善を重ねることが重要です。

     

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