採用ミスマッチによる早期離職に多い理由とは|原因や起こりやすい項目や対策方法について徹底解説
- 2024.08.31 採用・育成
更新日:2024.08.31
採用分析とは、自社の採用活動におけるデータを分析し、自社の採用プロセスの改善を図ることです。
売り手市場と呼ばれる昨今の日本では、採用市場における人材獲得競争が激しさを増しています。よって、採用担当者の経験則や感覚のみで十分な成果をあげることは容易ではありません。
そこで、自社の採用活動を分析し、データ化することで、改善するべき業務を把握することができます。
しかし、「どの業務のデータを分析すればよいかわからない」「分析したデータをどう活用すればよいかわからない」といった悩みを抱えた担当者の方は多いと思います。本記事では、分析の方法から、活用方法までを解説します。
採用分析とは、企業が採用プロセス全体を評価し、より効果的で効率的な採用に改善するためのデータを収集・分析することです。
具体的には、母集団形成から入社にいたるまでの各プロセスにおいて、応募者の特性や、応募数、コストや時間、採用後のパフォーマンスなどをデータ化し、そのデータを基に採用戦略を最適化することを目的としています。
たとえば、それぞれの求人サイトでの応募数や内定率を見ることで、「どの求人サイトが効果的で、母集団形成に向いているのか」といった分析ができます。この分析により、効果的な求人サービスに絞ることができ、コストの削減につながります。
また、他にも以下のようなメリットがあります。
採用プロセスの改善 | 採用分析を活用することで、採用プロセス全体を 見直し、優秀な人材をより効果的に特定・獲得す ることができます。過去のデータを基に、どのス テップでどのような応募者が高いパフォーマンス を発揮しているかを分析し、それに基づいて採用 基準やプロセスを最適化します。 |
採用コスト・時間の削減 | どの部分に無駄が生じているかを特定し、それを 効率化することで、無駄なコストや時間を削減で きます。また、データを活用して、応募者のスク リーニングや面接日程の調整などの業務を自動化 することで、時間とコストをさらに削減すること も可能になります。 |
データに基づいた意思決 定が可能になる | データに基づく意思決定は、主観や直感に頼ら ず、客観的なデータをもとに正確で効果的な採用 判断を行うために不可欠です。採用分析を活用す ることで、過去のデータやトレンドをもとに、戦 略的な採用計画を策定することができます。 |
採用プロセスを改善するために、各プロセスにおける重要視するべきデータがあります。以下では、そのデータの紹介と、算出方法までを解説します。
母集団形成に関わるデータは以下のデータが挙げられます。また、KPI管理シートの例も記載します。
項目 | 概要 |
総応募者数 | すべての求人チャネルを通じて、一定期間内に応 募した候補者の総数 |
求人サービスごとの応募者数 | 各求人サービス(例:求人ポータルサイト、求人 掲示板)からの応募者数の集計 |
自社の採用ページからのエントリー数 | 自社の採用ページや公式サイトから直接エントリ ーした応募者数 |
総PV数 | 求人広告や自社採用ページの総ページビュー数 |
スカウト送信数 | 候補者に対して送信したスカウトメッセージの総 数 |
スカウト返信数・返信率 | スカウトメッセージに対して返信を受け取った数 および返信率(返信数 ÷ 送信数) |
説明会参加者数 | 採用説明会に参加した候補者の数 |
面談設定数 | 候補者との面談が設定された総数 |
【KPI管理シート】
KPI管理シートを作成する際は、上記画像のように選考プロセスごとに分けて管理をしましょう。上記画像は「全体応募数から何人が入社したか」の管理シートの例です。
ここでは、何人が応募したのか、その後の書類選考や面接では何人が通過し、入社に至ったかを一目で確認できるようになっています。
以下画像はこの表に記載する数値です。
このように管理することで、目標数値と実際の数値を一目で比べることができます。また、赤枠、青枠の箇所に、次の選考ステップとの間に歩留まり率を記載します。
【母集団形成のデータの活用方法】
集まった応募者がどの媒体から選考に参加したのか、媒体ごとの応募者数を確認して応募率を算出しましょう。どの人材がどの媒体で応募してきたのか、どの応募経路の人材の採用率が高かったかなどを数値を算出することで、ミスマッチの少ない応募者経路を知ることができます。
採用率の算出方法を以下に表記します。
採用率=採用人数÷応募者数×100 |
ある求人媒体の応募者数100人のうち5人を採用した場合、採用率は5%です。
採用率が低い求人媒体がある場合、掲載内容や方法を改善する必要があります。また、求人媒体によって、人材のミスマッチの可能性も考えられるため、利用の可否を考える必要があります。
選考と採用に関わるデータとしては、以下です。また、同様にKPI管理シートの例も記載します。
項目 | 概要 |
各選考の参加者数 | 各選考ステップ(書類選考、面接など)に参加し た候補者の数 |
各選考の合格者数 | 各選考ステップで合格した候補者の数 |
各選考の辞退者数 | 各選考ステップで辞退した候補者の数 |
内定者数 | 内定を出した候補者の総数 |
内定承諾数 | 内定を承諾した候補者の数 |
内定辞退数 | 内定を辞退した候補者の数 |
面接官別の選考結果 | 面接官ごとに分けた選考結果の集計 |
選考過程別の歩留まり率 | 選考過程ごとの通過率歩留まり率の詳しい解説は 以下に記載しています。 |
【KPI管理シート】
以下は、母集団形成の管理シートと同様に「オファー配信から何人が入社したか」が一目でわかるように作成したシートです。
また、以下は「求人サイトからの応募で何人が入社したか」のシートです。
このように、採用媒体ごとや、説明会ごとに分けてシートを作成することでどの採用媒体の内定承諾率が高いのか、どのステップの歩留まり率が悪いのかを一目で把握することができます。
【歩留まり率の活用方法】
採用分析において重要なデータとして、選考過程別の歩留まり率が挙げられます。採用活動における歩留まり率とは、採用プロセスの各段階での候補者の残存率を示す指標のことです。
採用プロセスには複数のステップ(例:応募→書類選考→面接→内定→採用)があり、それぞれのステップでどれだけの候補者が次のステップに進んだかを算出します。
以下の歩留まり率の算出方法は以下です。
歩留まり率=選考通過者数÷各選考対象者数×100 |
また、選考プロセス別の歩留まり率の算出方法を表記します。
選考プロセス | 歩留まり率の計算方法 |
募集 | 受験率=受験者数÷応募者数×100 |
説明会 | 説明会予約率=説明会予約者数÷応募者数×100 |
説明会参加率=説明会参加数÷応募者数×100 | |
応募 | 求人の閲覧率=求人の閲覧数÷求人の表示数×100 |
求人の応募率=求人の応募数÷求人の閲覧数×100 | |
面接 | 書類選考通過率=書類選考通過数÷応募者数×100 |
面接通過率=面接通過者数÷面接受験者数×100 | |
面接辞退率=受験辞退者数÷面接受験者数×100 | |
内定 | 内定率=内定者数÷受験者数×100 |
内定承諾率=内定承諾者数÷内定者数×100 | |
内定辞退率=内定辞退者数÷内定者数×100 |
歩留まり率を算出することで、どのステップで候補者数が多く辞退しているか、脱落しているかを把握することができ、採用プロセスのどこを改善するべきか明確になります。
コスト・時間に関わるデータ歩留まり率が低いステージに注目し、無駄なコストを削減するための対策を講じることができます。
採用活動にかかるコストや効果のデータは以下が挙げられます。こちらもKPI管理シートの例を記載します。
項目 | 概要 |
求人広告費 | 求人広告の掲載にかかった費用 |
求人サービス・エージェントの利用料 | 求人サービスやリクルートエージェントの利用に かかった費用 |
採用イベントの開催費用 | 採用イベント(説明会、合同説明会など)の開催 にかかった費用 |
資料の制作費 | 採用関連の資料(パンフレット、プレゼン資料な ど)の制作にかかった費用 |
採用担当者や面接官の人件費 | 採用活動にかかわる担当者や面接官の人件費 |
求人媒体の費用対効果 | 求人媒体への投資に対して得られた成果(応募者 数、内定者数など)を評価する指標 |
1人当たりの採用単価 | 1人の新規採用にかかった総コスト(広告費、エ ージェント利用料、人件費など)を採用者数で割 ったもの |
【KPI管理シート】
以下画像は、採用媒体ごとにかかったコストをまとめ、また、その採用媒体ごとの歩留まり率と入社人数が把握できるようにしたシートです。
このように、採用媒体ごとのコストがわかることで、一目でそれぞれの比較をすることができます。また、採用媒体ごとの入社数も確認することができ、費用対効果の算出が簡単になります。複数の求人媒体を利用している場合、それぞれの費用対効果を比較して、最も効果的な媒体に注力することができます。
求人媒体の費用対効果の算出方法は以下です。
1人あたりの採用コスト=1媒体にかかった合計コスト÷採用人数 |
1人当たりの採用単価の算出方法は以下です。
1人当たりの採用単価=採用コストの総額÷採用人数 |
1人当たりの採用単価が高すぎる場合、コスト削減のために採用プロセスの見直しや、コストパフォーマンスの良い求人媒体の選定が必要です。
データを分析した後に、そのデータをうまく活用することが重要です。以下に分析したデータの活用方法について解説します。
求人媒体ごとの費用対効果を分析し、コストパフォーマンスの良い媒体にリソースを集中させることで、採用活動の効率と成果を向上させます。
費用対効果を見極めるために活用するデータは以下です。
媒体別の応募数 | 各求人媒体から得られた応募者数 |
媒体別の採用者数 | 各求人媒体を通じて採用に至った人数 |
媒体にかけたコスト | 広告費、掲載費用等、求人媒体に支払った総費用 |
採用に至るまでのプロセスデータ | 媒体別の書類選考通過率や面談通過率など |
コストと採用者数の関係を分析し、コストパフォーマンスの高い媒体を選定しましょう。また、採用者数だけでなく、採用した人材の早期離職率や内定辞退率にも注目することも重要です。これらの率が高いことは、ミスマッチの可能性が高いことが考えられます。
内定辞退率が高い原因としては、「他企業の内定が決まった・他企業が魅力的だった」「自分の理想と違っていた、社風が合わないと思った」などが挙げられます。内定後フォローや成長プロセスの明記や見直しが必要です。また、内定辞退率が高くなる原因に関して以下の記事で詳しく扱っています。ご参考にしてください。
参考:【具体例あり】内定後の辞退が増えてしまう原因と解決方法を紹介
選考辞退者や早期退職者のデータを分析し、その原因を特定することで、選考プロセスや入社後のサポート体制を改善し、離脱を減らすことにつなげます。
活用するデータは以下です。
選考辞退者数と理由 | 各選考ステージで辞退した候補者の数と、その理 由(アンケートやインタビューによる収集) |
内定辞退者数と理由 | 内定を辞退した人数と、その理由 |
早期退職者数と理由 | 入社後1年以内に退職した人数と、その理由(退 職理由のヒアリング) |
選考プロセスの時間 | 書類選考から最終面接、内定までにかかった時間 |
辞退理由や退職理由を分析し、選考プロセスや職務内容、オンボーディングの改善点を特定する。以下に、退職理由の調査結果を示します。
引用:独立行政法人 労働政策研究・研修機構「若年者の離職状況と離職後のキャリア形成(若年者の能力開発と職場への定着に関する調査)」
また、選考辞退の理由として、選考プロセスの時間が長すぎる場合が考えられます。その影響を検証し、スケジュールの短縮を図りましょう。
例えば、一次面接から最終面接までの期間が長く、候補者の離脱率が高いことがわかり、特に、特定のポジションで面接待機期間が長いことが判明した場合、面接日程の調整を効率化し、候補者が待たされる期間を減らしたり、面接官のスケジュールを事前に確保することで迅速に進めることができます。
データに基づいて、採用プロセス全体の無駄を削減し、迅速かつ効果的な採用に改善します。
活用するデータは以下です。
各選考ステップの歩留まり率 | 選考プロセス中における次の選考ステップへ進む 割合を示す指標 歩留まり率=選考通過者数÷各選考対象者数×100 |
選考プロセスの所要時間 | 「書類選考から内定通知まで」の全体の採用プロ セスにかかった時間、「応募が締切られてから書 類選考が終わるまで」「一次面接終了後から最終 面接が行われるまで」など各選考にかかった時間 |
面接官の評価データ | 各候補者に対する面接官の評価やフィードバック を集計したデータです。代表的な評価項目は以下 です。 ・コミュニケーションスキル ・専門知識 ・文化的フィット ・問題解決能力 ・リーダーシップ力 また、各項目ごとに数値化されたスコアを出した り、各候補者に対する評価の集計結果や傾向を分 析することで、面接官の評価もすることができま す。 |
選考プロセスのコスト | 採用プロセス全体にかかるコストの詳細は以下の 通りです。 ・面接にかかる人件費 ・エージェントへの手数料 ・広告費 ・面接会場費や候補者の交通費など 選考プロセスのコストは、採用活動にかかる総費 用を把握し、コスト効率を改善することに役立ち ます。 |
書類選考の歩留まり率が20%と低い場合、多くの応募者が書類選考で不合格となっていることがわかります。このデータから、書類選考基準が厳しすぎるか、求人情報が明確でない可能性が考えられます。この場合、書類選考基準の見直しを行い、応募者の特性や経験に対する評価基準を緩和したり、求人情報を見直す必要があります。
データ分析を通じて、採用する人材の偏りを把握することができます。その結果から、採用する人材の多様性を向上させることで、組織全体のイノベーションや生産性を促進します。
活用するデータは以下です。
項目 | 概要 |
応募者の属性データ | 性別、年齢、学歴、職歴、地域などのデモグラフ ィックデータ |
採用者の属性データ | 実際に採用された人材の属性データ |
採用プロセスのバイアス分析データ | 特定の属性を持つ候補者がどのステージで落とさ れやすいかを示すデータ |
市場データとの比較 | 業界や地域の労働市場全体における属性分布と、 自社の採用者データの比較 |
例えば、採用後1年以内の離職率が高いポジションがあった場合、採用者の属性データを分析することで、特定の学歴や職歴を持つ人材がそのポジションで離職率が高いことがわかる場合があります。学歴や職歴に依存しない採用基準を設けることで改善することができます。
他にも、技術部門では女性の採用率が低くなる傾向があります。こういった性別などの比率も、データ分析をすることで、測ることができます。面接官を多様化し、異なる視点で候補者を評価できるようにするなどの、多様性のある採用を推進する必要があります。
これらの採用分析は、数値を記録しながら、選考を進める必要があります。そこで、採用業務の管理に有効なツールを以下に紹介します。
ビズリーチが提供する「HRMOS」シリーズの一つであるハーモス採用は、採用業務の効率化に優れており、蓄積された数値やデータを基にした分析によって採用活動の振り返りが可能です。これにより、より戦略的な採用活動が実現します。アルバイトやパートスタッフでも特別な操作説明なしに利用できます。
また、新卒採用向けには「HRMOS採用 新卒エディション」が用意されており、同社の人材活用システム「HRMOSタレントマネジメント」と連携することで、採用だけでなく入社後の人材活用(人事評価や組織診断など)にも対応可能です。
料金:要問い合わせ
引用:ジョブカン採用管理
ジョブカン採用管理は、20万社以上に導入されており、月額8,500円からという業界最安値水準でありながら、応募者管理や選考管理に必要な基本機能を一通り備えた採用管理システムを提供しています。求人媒体との自動連携を希望する場合には、月額30,000円からのプランがあります。新卒・中途採用だけでなく、アルバイト採用にも対応できる汎用性の高さも大きな魅力です。
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料金:月額8,500円(月の候補者登録数50名まで)~
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また、応募者への選考案内、面接官への評価依頼、リマインド案内、選考結果の通知など選考過程で生じる各種連絡を自動化できます。応募者一人ひとりの選考状況をリアルタイムに集計し、表やグラフで表示することができ、採用分析のサポートができます。
料金:月額22,000円~(1台で新卒・中途どちらも対応可能)
採用業務は採用分析をすることでさらに効果的なものとなります。しかし、日々の業務に追われている企業は採用業務ですら、負担が大きい業務だと思います。そこで、アウトソーシングをすることで、全ての工程を丸投げすることができます。
Crowd Mooveでは、「Crowd Mooveアシスタント」というアウトソーシングサービスを提供しており、バックオフィスを初めとした様々な業務をアウトソーシングできます。また、どんな業務でも一律1時間2,200円でアウトソーシングすることができ、専属PMが一気通貫して担当します。
もちろん採用業務のアウトソーシングが可能で、専門的ノウハウを活用した求人媒体選定から、スカウト、書類選考、面接までをアウトソーシングすることができます。また、数多くの応募にも対応できるオペレーションを設計しています。それにより、委託頂いた企業の仕事を最終面接のみにすることができ、内定後フォローなどの内定承諾率を上げるための業務に集中することができます。
採用工数を減らして、内定を増やしたい企業様はお気軽にご相談ください。
料金 | 一律1時間2,200円 |
対応可能業務 | ・バックオフィス ・人事 ・採用 ・カスタマーサポート ・マーケティング ・営業 |
本記事では、採用分析について、分析方法からデータの活用方法を解説しました。
採用分析を行うことで、自社の採用プロセスを客観的で適切な角度から評価することができます。
採用分析をする際は、以下の項目のデータを収集しましょう。
これらのデータは、比較や原因の追求などの分析をしましょう。それぞれのデータに適した切り口で分析することで効果的な採用活動の改善につながります。