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投稿日:2024.10.17(木)
更新日:2024.10.28(月)
中途採用を行った際に必ず必要なのが、給料の決定です。給料の決定を行う方法は前職の給与を考慮するなど、さまざまな方法があります。給料やその決め方におけるトラブルを避けるためにも、企業と従業員の両者が納得する給料を設定する必要があります。
本記事では、「給料の決め方を知りたい」、「中途採用でのトラブルを避けたい」と考える方向けに、中途採用給与の決め方や、給与を決める流れ、中途採用でのトラブルを防ぐ方法などについて解説します。
目次
中途採用給与の決め方はさまざまです。ここでは、中途採用の決め方を以下の5つ紹介します。
メリット デメリット 「前職よりも低い給与である」という理由の内定辞退を避けられる 実力が給与に見合わない場合がある
1つ目は、「前職の給与を考慮して決定する」です。求職者は、給与の比較基準として、前職の給与を用いて、比較している場合があります。また、前職の給与よりも高い給与を求めている人がほとんどだと考えられます。
そのため、前職よりも給与が低かった場合、内定辞退につながる可能性があります。この方法の一番のメリットは、前職の給与を考慮することで、そのような事態を避けることができる点です。前職の給与についてのヒアリングや証明できるものを提示してもらうなどして前職の給与を参考にしましょう。
一方、この方法のデメリットとしては、実力が見合わない場合があることが挙げられるため、それらを考慮して給与を決める必要があります。
メリット デメリット 給与の基準を年齢や在籍年数にすることで、確実に昇給することができるため、求職者の納得を得やすい 業績やスキル、前職の給与が反映されないため、「前職やスキルを考慮してほしい」と考える求職者には不向き
2つ目は、「自社の相場を基準にして決定する」です。年功序列型の給与体系を採用する企業に多く、年齢と自社の相場をもとに給与を決定します。また、給与の基準を年齢や在籍年数にすることで、確実に昇給することができるため、納得を得やすい方法でもあります。
しかし、業績やスキル、前職の給与が反映されないため、「前職やスキルを考慮してほしい」と考える求職者には不向きな方法です。
メリット デメリット 相場を知ることができ、適切な金額を提示しやすい 実力が見合わない可能性がある
3つ目は、「競合他社と比較して決定する」です。これは、転職サイトや厚労省の統計、求職者が競合他社から提示されて金額よりも上回る給与を提示する方法を指します。
この方法は、複数の競合を参考にすることで、相場を知ることができ、適切な金額を提示しやすいのが特徴です。また、他社よりも高い給与が提示されれば、求職者は自分の能力が評価されたと感じるため、入社する可能性が高くなります。しかし、「前職の給与を考慮して決定する」と同様に、実力が見合わない可能性があることは留意しておきましょう。
メリット デメリット 求職者のこれまでの実績やスキルをもとに給与を設定するため、求職者の納得を得やすい 社会人経験があったとしても、業界未経験の場合は評価されないことになるため、求職者によっては、低い給与に不満を感じる場合がある
4つ目は、「業績や成果をもとに決定する」です。この方法では、求職者のこれまでの実績やスキルをもとに給与を設定するため、求職者の納得を得やすい方法です。
しかし、社会人経験があったとしても、業界未経験の場合は評価されないことになるため、求職者によっては、低い給与に不満を感じる場合もあります。また、業界での経験があったとしても、そのスキルや実績を証明できるものがなければ、評価できないという側面もあります。
メリット デメリット 実力に見合った適切な給与設定を行える 労働通知書などの資料に試用期間についての記載が必要なため、注意が必要
5つ目は、「試用期間に見極めて決定する」です。採用時に給与を決めるのが難しい場合は、この方法も1つの手です。試用期間により、実際の仕事姿を見て実力を把握することができます。そして、その実力に見合った適切な給与設定を行えるのが特長です。
ただし、この方法では、労働通知書などの資料に「記載された給与は仮の金額であり、実際は試用期間中の働きに応じて決定する」などの文を記載する必要があるため、注意しましょう。
実際、業界やスキルによって年収はどの程度変化するのでしょうか。人材サービス産業協議会が出している「転職賃金相場2023」の内容をもとに、以下5つの職種とスキル別の給与相場を紹介します。
ITの法人営業の給与相場は、最高年収が1500万円、最低年収が250万円で幅が広いです。年収とスキルの相関は、IT業界での法人経験や管理職経験により給与が変動します。また、年収は外資系企業や企業規模によっても変動します。
具体的には、IT業界の法人営業経験3~5年程度、業界知識、英語力がある場合は年収600~799万円が相場です。その場合、マネージャーやマネージャー候補の役割につくことが多いです。IT営業経験者を採用する際には、同業界の経験の有無や、役職の有無、前職の企業の規模感を確認して給与設定を行うのが良いでしょう。
ネットワークのIT職は、給与相場は最低年収が200万円、最高年収は1416万円と非常に幅広いです。また、マネジメント経験やマネジメント経験同等の専門性のある知識によって、給与が変動する傾向にあります。
ネットワーク・サーバなどの3年以上の業務経験や、マネジメント経験がある場合は、年収600~799万円で社内SEやプロジェクトリーダーを任せることが多く、ネットワークの構築・運用に関する7年以上の専門性の高い経験や管理職の経験は年収600~999万円が相場となっています。その場合、管理職や社内SEの役職につくことが多いです。
Web・アプリケーションのIT職は、プロジェクト規模やプロジェクトマネジメント経験による給与想定がおすすめです。
また、システムの開発経験や運用経験がある場合は、年収600〜799万円、SEとしての業務経験やプロジェクトマネージャー歴3年以上などは年収800〜999万円に設定する企業が多いです。その場合、マネージャーやマネージャー候補の役割につくことが多いです。
メーカーの法人営業は、地域によって最高年収に差が大きいです。経験者の採用については、年収400〜599万円が多く、マネジメント経験がある場合には、600万円以上の給与が相場です。また、その他英語力などによっても年収が変化する場合が多いです。
具体的には、業界での営業経験や英語力がある場合は、年収600~799万円が相場で、マネージャー(候補含)、リーダー、担当者などの役割につくことが多いです。
経理財務は、経験年数や上場企業での経験の有無、決算・IR経験の有無により給与が大きく変動します。
具体的には、経理財務・IR等の経験3年以上、上場企業での経験、簿記2級以上、管理職経験などがある場合には、年収600〜799万円が相場となっています。その場合、経理の部長広報、課長、リーダーやスペシャリストと言った役職になることが多いです。
中途採用の給与を決める際のポイントはいくつかあります。ここでは、以下の3つのポイントについて紹介します。
「中途採用給与の決め方」のうち、給与の決定方法を明確にしておく必要があります。求職者にとって、給与の決め方についての情報は重要です。求職者が転職先を選定する際、納得できる給与かどうかで、入社に対する意思が変化します。
そのため、納得できない決め方や給与だった場合には、選考や内定を辞退される可能性があります。そうならないためにも、それぞれの決め方のメリットデメリットを理解して、適切な給与設定を行いましょう。
就業規則を確認しておくのは、中途採用の給与を決定する際に重要です。就業規則とは、企業が労働基準法に基づいて労働条件や職場内の規律について明確に定めたものを指します。企業の業務の遂行は、就業規則に沿って行われ、使用者と従業員は記載された内容を守らなくてはいけません。そのため、就業規則について確認をしておく必要があります。
給与に関して具体的には、以下のような内容を明確にしておく必要があります。
また、給与の決定も就業規則に沿って行う必要があるため、注意しましょう。
中途採用時には、評価や昇給基準を明確にしておきましょう。評価基準や昇給基準は求職者だけでなく、既存の社員にとっても重要な情報です。基準を明確にしておくことで、求人の際に求職者の疑問点を減らし、不安を軽減させることができます。また、昇給に関する既存社員の不満も避けることができます。
評価基準として、「業績」「能力」「情意」の3つの項目を使用するのが一般的です。具体的には、以下の通りです。
業績:自社への貢献度
能力:保有しているスキルや業務の遂行能力
情意:業務への姿勢
また、それぞれの項目の評価における比重も明確にしておきましょう。何を重視するかは業務内容や部署によって異なるため、調整する必要があります。また、会社全体の成長意欲の向上を図ることができるため、これらの評価に関する基準を公表しておくのがおすすめです。
中途採用の給与を決める流れは、以下の通りです。順番に確認していきましょう。
はじめに、求人票に記載する給与額や条件を明確にしましょう。具体的には、基本給・月給、年収等の記載方法について決めましょう。通勤手当や時間外手当などを含めた額面で記載する場合は、別途で基本給を記載しておくことで、認識の違いによるトラブルを避けることができます。
また、勤務内容や勤務時間、休暇などの雇用条件に関する記載もトラブルを避けるために記載しておきましょう。
次に、書類選考や、筆記試験、面接などの選考を通して、自社が求めている人材であるのかの確認をしましょう。また、段階を踏みながら応募者のスキルを見極めることは、給与を決定する上でも重要なプロセスです。
具体的には、各選考で以下の内容についてチェックします。
書類選考:経験やスキル、資格の有無
筆記試験:能力や一般教養があるか
面接:採用条件に合うか、自社のカルチャーとマッチするか
このように各段階で候補者が自社にマッチしているのかについて見極めましょう。
前職の給与を参考にして給与決定を行う場合には、面接時にヒアリングをする必要があります。書類選考段階で、事前に給与を記載してもらう方法もありますが、求職者が前職の給与に対して不満を感じていたり、希望条件がある可能性があるため、実際に応募者と面接時に確認する必要があります。
具体的には、前職の給与や応募者が希望する給与に関して具体的な数字を用いて確認を行い、前職の給与と希望給与に差が合った場合には、その理由を聞きます。それを聞いて企業側が適切な給与を提示することで、お互いの納得のいく給与設定をすることができます。また、応募者と企業との間で給与に関する認識の違いが生まれないよう、面接時に自社の給与体系を明確に示しておきましょう。
内定が確定した際、書面に給与額を記載します。また、内定通知書を交付する際に、給与の金額を記載するのも可能です。
一般的には、企業側は、従業員に「労働条件通知書」を渡す義務があるため、そこに給与の記載を行います。ここでは、記載内容に求人票の募集内容や面接での条件に違いがないかを注意しましょう。
内定通知書を渡した後でも、企業側が提示した給与に納得できない場合には、従業員は金額についての交渉を行うことができます。企業側はこの申し出に誠実に応じなければならないため、従業員が納得できるまで十分に話し合いを重ねる必要があります。
交渉で話がこじれたり、トラブルを避けるためにも、面接段階で十分な話し合いを行っておきましょう。
中途採用の給与に関するトラブルはいくつかあります。ここでは、以下の3つのトラブルについて紹介します。
応募者と話し合い、給与を決定した際のトラブルで挙げられるのが、期待外れでも給与が下げられないことです。たとえ、入社後に十分な活躍がなく、想定したよりも低い業績だった場合でも、企業側は減給することはできません。
減給できるケースは、就業規則に記載されている減給の条件に当てはまる場合か、人事の評価で降格した場合などです。そのため、このようなリスクがあることを考え、給与設定を行う必要があります。
応じた給与交渉の内容によっては、社内から反発がある可能性があります。中途採用を行う際には、人材不足を補うために競合他社よりも高い給与を提示するケースが少なくありません。しかし、既存の社員よりも高い給与額を設定した場合、既存社員が納得できる理由が必要です。
中途採用のみが高い給与をもらうことができる企業であれば、社員全体のモチベーションを低下させ、会社側への不信感を持たせてしまう可能性があります。そのため、既存社員が不満をもたない正当性のある給与設定を行うことも重要です。
求人情報の認識に齟齬があり、内定を辞退されるケースは少なくありません。給与や勤務形態など雇用条件が候補者が思っていたものと違っていたり、満足いく内容でないことに内定時に気が付いた場合などに、内定を辞退されてしまう可能性があります。
そのような事態を避けるためには、面接時などにきちんと口頭での情報共有を行い、認識に齟齬がないかについて確認しておく必要があります。
エン・ジャパン株式会社が行った内定辞退に関する調査によると、内定辞退の理由に多いのが、勤務地や給与、社風などに関するものです。そのため、これらの項目に関する情報を明確にし、あらかじめ共有しておくようにしましょう。
中途採用のトラブルを防ぐためには抑えておきたいいくつかのポイントがあります。具体的に、以下の3つを紹介します。
雇用条件欄に給与について明確に記載しておくことが、トラブルを避けるうえで重要なポイントです。特に、給与についてのトラブルはさまざまなため、明確に給与を示しておき、応募者との間に齟齬を生まないことが大切です。
また、給与や雇用条件に変更があった場合には、求人情報を更新しておくことも注意すべきポイントです。給与額を変更したにもかかわらず、求人情報の内容を変えないまま求職者を受け付けた場合には、面接で伝えた内容が求人情報と異なることに対して求職者は「騙された」と感じます。企業の信頼を失わないためにも、正しい給与や雇用条件を記載するようにしましょう。
選考時に給与額や希望給与額を確認することは、トラブルを防ぐために重要な工程です。企業側が提示した額が必ずしも、求職者にとって理想的な金額であるとは限りません。そのため、選考時に求職者と給与について確認する必要があります。
もし、確認せず内定を出してしまった場合、給与が求職者の希望に合わなかった際に内定を辞退されてしまう可能性があります。採用に至るまでには多くのコストを要しているため、内定を辞退されてしまうことがないように、選考段階から給与に関する相談をしておきましょう。
トラブルを防ぐために、オファー面談を実施することは一つの手段として有効です。オファー面談とは、内定が出た後に行う面談のことを指します。オファー面談で、労働条件通知書の内容と当初の条件に相違がないかについて確認することができます。また、従業員側に疑問点や不安点がある場合には、質問などを行い、解消することができます。
特に、オファー面談では、具体的な給与や昇給の見込みがどの程度あるのか、賞与や各種手当についての説明を行うことが必要です。このように、オファー面談を実施し、入社後に改めて郎等に関する情報の共有をしておくことで、入社後もトラブルなく過ごすことができます。
これは、上記の内容をチェックリスト化したものです。各項目を確認してトラブルを回避しましょう。
中途採用の給与決定方法は求職者に説明されていますか?(〇/×)
給与の基準や最低保障額は就業規則に沿って設定されていますか?(〇/×)
勤務時間外手当や通勤手当などの支給条件は明確にされていますか?(〇/×)
給与支払いの締日と支払日は定められていますか?(〇/×)
昇給基準とそのタイミングは明確にされていますか?(〇/×)
評価基準(業績、能力、情意)は定められており、社内で共有されていますか?(〇/×)
昇給やボーナスについての情報は事前に伝えられていますか?(〇/×)
応募者の給与希望と企業の提示額に齟齬はありませんか?(〇/×)
求人票に記載された給与条件と内定後の書面が一致していますか?(〇/×)
給与に関する期待が企業の予算内に収まっていますか?(〇/×)
給与に関する条件は適切に法令や企業方針に準拠していますか?(〇/×)
応募者が納得できる給与であるかどうかは確認しましたか?(〇/×)
既存社員からの反発がないような給与になっていますか?(〇/×)
勤務地や就業形態(リモートワークなど)に関する条件が明確に設定されていますか?(〇/×)
給与の透明性を高めるために、オファー面談が実施されましたか?(〇/×)
給与面でのトラブルを避けるために、応募者とのコミュニケーションは十分に取れていますか?(〇/×)
応募者が内定を辞退する可能性を低減するために、給与に関する説明は適切でしたか?(〇/×)
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ここまで、中途採用の給与の決め方や給与を決める際の重要なポイント、中途採用のトラブルを防ぐためのポイントなどについて解説してきました。中途採用の給与に関するトラブルは少なくありません。そのため、本記事の内容を意識して、中途採用をトラブルなくスムーズに進められるようにしましょう。
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