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性格診断を活用した面接とは|メリット・デメリットから面接に適した診断方法まで徹底解説

性格診断を活用した面接とは|メリット・デメリットから面接に適した診断方法まで徹底解説

投稿日:2024.10.17(木)

更新日:2024.10.28(月)


性格診断とは


性格診断とはその人の行動、思考の傾向、情緒の安定性を把握するために使われるツールです


面接で使われる性格診断は、性格適正検査と呼ばれます。その結果から「企業の方向性に適した人物かどうか」「業務に必要な能力を持っているかどうか」を判断する材料となります。


科学的根拠があるものとして有名なのが、ビッグファイブ診断です。ビッグファイブ診断は、心理学で広く認知されています。個々の性格を理解するための枠組みであり、開放性、誠実性、外向性、協調性、神経質傾向の5つの性格特性因子から構成されています。因子分析という統計手法を用いて導き出されたこの理論は、多くの研究において妥当性や信頼性が確認されており、性格心理学の分野では現在最も科学的根拠のある理論とされています。


本記事では、就職面接に活用できる性格診断についてメリット・デメリット共に解説します。



性格の特徴を大きく4つに分類


就職活動でよく利用されている性格診断のSPI診断では以下の5つの分野に分類し、出題されています。また、SPIで利用されている質問例を記載します。


  • 行動的側面
  • 意欲的側面
  • 情緒的側面
  • 社会関係的側面
  • ライスケール


分野項目質問例
行動的側面持続性粘り強い性格である
自分は努力家である
物事は最後までやり遂げるべき
である
意欲的側面達成意欲他人と競争するとやる気があが

やる気を出すうえで目標設定は
重要だ
何事も結果が大切である
活動意欲決断が早いほうだ
リーダーシップがあるほうだ
じっとしているのが嫌いだ
情緒的側面敏感性神経質であるプレッシャーに弱

自信をなくしやすい
自責性自己嫌悪しやすい
周囲の意見に引っ張られやすい
落ち込みやすい
気分性よく考えもせずに行動しやすい
気分の浮き沈みが激しい
細かいことを気にする性格だ
社会関係的側面協調性周囲との調和を大切にする
自分の意見を押し通すよりも、
みんなの意見を尊重する
チームで働くのが好きである
社会性人と話すのが好きである
新しい人と出会うことに喜びを
感じる
友人と過ごす時間を大切にする
共感性他人の気持ちに敏感である
他人の立場に立って考えること
ができる
周囲の人を助けたいと思う
ライスケール言い訳をしたことがない
人生の中で1度も後悔したこと
がない
人との約束っを破ったことがな


ライスケールとは、「正直に本音で回答しているかどうか」です。候補者が自分を良く見せようと嘘の回答を選択していると「虚偽性がある」という結果が出てしまいます。


ライスケールの質問には、「1度も〜ない」などの極端な質問が多いです。その場合、「YES」と回答している候補者は、嘘をついている可能性が高いです。


性格診断を面接で活用するメリット 


以下では、性格診断を面接で活用するメリットについて解説します。


  • 客観的評価ができる
  • チーム業務がうまくいく可能性が高まる
  • 社員定着率の向上が高まる


客観的評価ができる


面接の場において、面接担当者の主観によって左右される場合があります。


例えば、候補者がリーダシップを発揮した経験を語った際に、面接担当者が求めるリーダーシップのスタイルや価値観が異なるため、同じ経験でも評価が別れる可能性があります。


そこで、性格診断を用いることで、候補者の性格や特性を客観的に評価することができ、個々の面接官の偏見を減らすことができます


また、他にも、面接官は診断結果を基に短時間で候補者の特性を把握できるため、面接の効率が向上することがメリットです。


チーム業務がうまくいく可能性が高まる


性格診断は、候補者の性格の特性や行動スタイルを明らかにし、既存のチームとどのように調和するかを判断する材料となります


また、新たな事業やチームを編成する際は、相手のことをよく知らないために、スムーズなコミュニケ―ションが取れずに、誤解や摩擦が多くなってしまう可能性が高まります。そこで、性格をあらかじめ知っていることで、チームメンバーのコミュニケーションスタイルや行動パターンを理解することができます。


例えば、社交的でチームを引っ張る外向性の高い上司と、ストレスに強く、感情が安定している神経症傾向が低い部下は相性が良いと言えるでしょう。活発なプロジェクトにおいて、上司がエネルギーを高める役割を果たし、部下が冷静にタスクを管理してプロジェクトの進行をサポートする関係を築くことができます。


誤解や摩擦の少ないチーム編成は、パフォーマンスの向上が期待できます。


社員定着率の向上が期待できる


性格診断を用いることで、候補者が自社の文化や仕事への価値観にどの程度適合するかを事前に把握することが可能になります。企業に適した場合、職場でのストレスが少なく、社員定着率の向上が期待できます。


例えば、自社の定着率が高い社員に性格診断をした後に、候補者の性格診断を行い、社員と似ている、もしくは、相性の良い人材を採用することで、定着率を上げることができます。


また、定着率が高いと、教育機会も増え、社員のモチベーションにつながります。長期的な人材育成は、個々の社員に対して最適なキャリアパスを提案できます。


性格診断を行うデメリット


就職採用で活用できる性格診断ですが、デメリットも存在します。以下で、そのデメリットについて解説します。


  • 診断結果の解釈が難しい
  • 偏った固定概念を生んでしまう
  • 候補者の不安をあおる


診断結果の解釈が難しい


性格診断結果は、カテゴリー別に表すことが一般的です。しかし、その解釈は簡単ではありません。


例えば、内向的であると判断された場合、人と関わることが苦手と解釈されがちですが、実際には深い人間関係を築くことが得意である可能性もあります。


逆に、外交的であると判断された場合、社交的であると解釈されがちですが、実際にはその場の状況に応じた適応能力が高いだけの場合もあります。外向性が高い人が必ずしも営業に向いているとは限らず、内向的な仕事環境で周囲の社員を巻き込むなどの力を発揮する可能性があります。


偏った固定概念を生んでしまう


これは、「診断結果の解釈が難しい」ことにつながりますが、固定概念を生んでしまう可能性があります。


例えば、チームリーダーの採用で、性格診断を用いてリーダーシップ特性が強い(外向性と誠実性が共に高い)と診断された候補者を優先する場合、チームメンバーの意見を傾聴し、調整する傾聴力や協調性がある候補者が過小評価される可能性があります。


このように、診断結果に過度に依存することで、見逃してしまうリスクが考えられます


候補者の不安をあおる


性格診断を採用プロセスに組み込むことは、候補者に対して不安を与える場合があります。診断結果が採用の合否にどう影響するのか、また、結果が公正に扱われるのか不安に思うことがあります。


例えば、 診断結果が自己認識と一致しない場合、候補者が自己評価に対して疑念を抱くことがあります。


候補者には、診断結果の取り扱いやプライバシー保護について明確に説明し、安心感を提供することが重要です。どのような観点から診断結果が出されているかの説明まであるとより良いです。



性格診断を活用するコツ


性格診断は、導入することで、候補者を評価する良い材料となりますが、企業側の正しい活用が重要です。また、候補者に不公平さや不安を感じさせてしまうツールにもなります。以下では、性格診断を面接で活用するコツを紹介します。導入している担当者様や検討している担当者様はぜひ参考にしてください。


  • 明確な基準を設定する
  • 信頼性の高いツールを活用する
  • 診断結果と面接を組み合わせる


明確な基準を設定する


性格診断を行う際、採用基準を明確にしておきましょう。どのような性格特性が自社の業務に必要で、自社にとって有益であるかを具体的に定めることで、診断結果の解釈が容易になり、採用判断が一貫したものになります


例えば、 各職務に必要なスキルや特性を洗い出し、それに基づいて性格特性の基準を設定します。営業職には積極的で人と関わる力がある外向性の高さや長期的なプロジェクトや目標に対して粘り強く取り組むことができる忍耐力が必要であるかもしれません。営業職を雇う場合、この2点を重視して診断しましょう。


また、過去に成功した社員の性格特性を分析し、そのデータを基準に設定することで、採用の精度を高めることができます。


例えば、トップセールスが全員高い外向性と協調性を持っていて、共通する場合、その特性が重要な基準となります。


以下に、基準の設定方法・手順を整理します。


  1. 業務に必要な洗い出し
    各職務に必要なスキルや性格特性を「営業職:外向性、忍耐力、説得力」「開発職:分析力、創造力、集中力」のように、具体的にリストアップします。
  2. 優先順位の設定
    すべての特性が同じ重要度を持つわけではありません。職務において最も重要な特性に優先順位をつけ、どの特性を最も重視するかを明確にします。営業職では、外向性が最も重要であるかもしれません。
  3. 成功した社員の分析
    過去に成功した社員の性格診断データを分析し、その共通点を見つけます。成功者が持つ特性を基準として設定することで、採用の成功率を高めることができます。
  4. 診断ツールの選定
    設定した基準に基づいて、適切な性格診断ツールを選定します。ツールが求める特性を正確に測定できるかどうかを既存の社員などで確認しましょう。
  5. 診断結果の解釈基準の明確化
    診断結果をどう解釈し、どのように採用判断に反映させるかを事前に定めます。例えば、ビッグファイブ診断であれば、外向性が4/5以上であれば「採用候補」とする、など具体的な基準を設けます。


信頼性の高いツールを活用する


性格診断ツールにはさまざまな種類があり、選択するツールの信頼性と妥当性が重要です。信頼性の高いツールを使用することで、診断結果が採用判断において正確な情報を提供し、候補者に対しても不安を与えることなく、採用計画を進めることができます


科学的根拠がある診断方法として、「ビッグファイブ診断」があります。ビッグファイブ理論は「人間の基本的な性格は5つの要素から成り立つ」とする理論です。ビッグファイブは統計的な検証がなされており、世界中の論文で使われている、信頼性の高い指標です。


また、自社内で統計をとり、信頼性が高いと評価された診断方法を使うのも1つの手法です。


以下に、信頼性の高いツールを選定し、効果的に活用するための具体的な手順を紹介します。


  1. 信頼性の高いツールの選定
    科学的根拠の確認や、ツールの認知度、使用実績を確認しましょう。広く使用されている診断方法は、信頼性が高いと言えるでしょう。
  2. ツールの試用とフィードバック収集
    既存の社員に対してツールを試用し、その結果と実際のパフォーマンスを比較します。これにより、ツールが自社に合っているかどうかを確認できます。また、診断を受けた社員や候補者からフィードバックを収集し、ツールの使いやすさや診断結果の正確性について評価しましょう。
  3. 診断結果の評価基準の設定
    ツールが提供する診断結果をどのように評価し、採用判断に反映させるかを事前に設定します。例えば、「ビッグファイブ診断」の場合、外向性や誠実性などのスコアをどの程度重視するかを決めます。
  4. 採用プロセスのへの統合
    候補者に対して、使用するツールが信頼性のあるものであり、公平な評価を行うために使用されることを説明します。
  5. 継続的な見直し
    採用後の社員のパフォーマンスをモニタリングし、診断結果が実際の業務成果とどの程度一致しているかを評価します。また、それに応じて、ツールや評価基準の見直しも必要です。


診断結果と面接を組み合わせる


性格診断はあくまで候補者の特性を把握するための一つの手段であり、面接と組み合わせて様々な角度から評価しましょう


例えば、診断結果が「強調性が高い」と出た場合、グループでの活動などの協調性が感じられるエピソードを質問するなどが良い手法です。協調性の高いエピソードの評価ポイントとして、コミュニケーション力、問題解決力、柔軟性や適応力などです。


それにより、より高い精度で候補者を評価することが可能になります。


面接に適した性格診断を紹介


候補者を適切に評価する性格診断方法を以下に紹介します。


  • ビッグファイブ診断
  • SPI診断
  • MBTI診断
  • ソーシャルスタイル診断


ビッグファイブ診断


上記でも紹介した通り、ビッグファイブ診断は統計的な検証がなされており、世界中の論文で使われている、信頼性の高い指標です。アメリカの心理学者であり、オレゴン大学の名誉教授であるルイス・R・ゴールドバーグが提唱した、個人の性格に関する学説です。人の個性は5つの因子によって分類することができるとされています。診断結果は以下の5つの指標で評価されます。


  • 外向性
    社交的で積極的な性格特性を示します。外向性が高い人は人と接することを楽しみ、活力に満ちています。
  • 神経症傾向
    情緒の安定性を示します。神経症傾向が高い人は、ストレスを感じやすく、不安や落ち込みがちです。
  • 誠実性
    責任感や計画性を示します。誠実性が高い人は、几帳面で責任感が強く、目標達成のために努力します。
  • 協調性
    他人に対する共感や協力的な態度を示します。協調性が高い人は、他人の意見を尊重し、チームでの協力を重視します。
  • 開放性
    新しい経験やアイデアに対する受容性を示します。開放性が高い人は、創造的で好奇心が旺盛です。


ビッグファイブ診断は特性論と呼ばれる理論の評価方法です。5点満点の数値の高低で性格を表すため、「外向的が4/5点だと外向性が高い」「外向的が1/5点だとかなり内向的」といった微妙なニュアンスで性格を表現でき、現実の性格を上手く説明することが可能です。


MBTI診断


MBTI診断は、昨今日本で流行している性格診断です。正式名称は「Myers-Briggs Type Indicator」であり、頭文字を取った言葉です。


MBTI診断では、興味の方向性(内向的・外向的)で2つ、外界への接し方(感覚型・直観型、思考型・感情型、判断型・認知型)で6つに分け、最終的に16種類の性格に分類します。診断結果は以下の通りです。


  1. 外向性(Extraversion, E)と内向性(Introversion, I)
  2. 感覚型(Sensing, S)と直感型(Intuition, N)
  3. 思考型(Thinking, T)と感情型(Feeling, F)
  4. 判断型(Judging, J)と知覚型(Perceiving, P)


MBTI診断には、非常に細かい分類が可能で、タイプごとの相性まですぐに分析することができます。


ただし、相性が良いとされているタイプでも、プライベートと仕事上では異なる場合があります。そういった点も考慮した活用が必要です。


SPI診断


多くの企業で適性検査として利用されているSPI診断です。SPIの性格適性検査の問題数は約300問で、解答時間は約30〜40分です。3部構成であり、2種類の出題形式があります。


第1部・第3部:日常生活における思考や行動に関する質問に対し、「Aに近いか・Bに近いか」を4つ
の選択肢から1つの解答を選ぶ
第2部:日常生活における思考や行動に関する質問に対し、「あてはまる・あてはまらない」を4つの
選択肢から1つの解答を選ぶ


SPI診断では、就活生の行動・考え方・ストレス耐性・仕事の仕方・適性のある業務などが数値化することができます。


玉手箱


玉手箱性格審査も、SPI診断と同様に、多くの企業で適正検査として用いられています。


玉手箱の性格検査は「性格」と「意欲」の2つに分かれています。この性格検査では、就活生の素質が、企業の社風や職種とマッチするのかを判断しています。以下に玉手箱の例を紹介します。


性格検査 性格問題
以下の質問で、自分に最も近いと思うものを、YES欄のA~Dから1つ選びなさい。また、最も重視しな
いものを、NO欄のA~Dから1つ選びなさい。



性格検査 意欲問題
あなたの日常の仕事場面を想定し、自分が最も重視するものを、YES欄のA~Dから1つ選びなさい。ま
た、最も重視しないものを、NO欄のA~Dから1つ選びなさい。



ソーシャルスタイル診断


ソーシャルスタイル診断では、「この人は分析してから動くタイプだ」「この人は感情を優先して仕事をするタイプだ」のような仕事でどのような働き方をするかを診断することができます。


ソーシャルスタイル理論は、大きく4つに分けることができます。


  • ドライビング…実行型
    ドライビングタイプの人は目標志向が強く、迅速に行動し、結果を出すことを重視する合理的なタイプです。決断力があり、自分の意見をはっきりと述べ、リーダーシップを発揮することが得意です。効率性を追求し、明確な成果を求めるため、具体的な目標設定や迅速な意思決定を行います。
  • アナリティクス…分析型
    アナリティクスタイプの人はデータや事実に基づいて慎重に意思決定をします。論理的で組織的なアプローチを好み、詳細な分析や計画を重視します。彼らは高い正確性と精密さを求め、リスクを最小限に抑えるための慎重な行動を取ります。
  • エクスプレッシブ…直観型
    エクスプレッシブタイプの人は創造的で感情豊かな性格です。新しいアイデアやアプローチを考えることを楽しみ、情熱を持って自分の感情を表現します。社交的で人との交流を好み、ビジョンや夢を描くことに長けています。
  • エミアブル…温和型
    エミアブルタイプの人は協力的で他者との信頼関係を重視します。チームワークや他者の支援を大切にし、安定した環境を好みます。親しみやすく温和な性格で、他人を助けることを喜びます。


このように、候補者の仕事への向き合い方やコミュニケーション方法を知ることができます。


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引用:株式会社Crowd Moove


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まとめ


本記事では、面接における性格診断の活用方法と、メリットデメリット、活用できる性格診断を解説しました。


性格診断は、候補者の特性や行動タイプなどを図る指標として、良い材料となりますが、あくまで診断結果です。候補者が嘘をついていたり、その日の気分で変わってしまう可能性もあります。


そういったことを念頭に置き、あくまで1つの参考として、面接で活用することが重要です


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