職場でいい人が辞めていく原因と会社の特徴を解説|退職時の前兆と改善方法

   
 
  • 更新日:2024.07.02
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    Crowd Moove編集部
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    Crowd Moove編集部
  • 更新日:2024.07.02
  • 職場でいい人が辞めていく原因と会社の特徴を解説|退職時の前兆と改善方法

    ほとんどの会社は、「優秀な人材には長く働いてほしい」と考えているでしょう。昨今では、働き方改革の促進、ITの普及によるワークスタイルの変化などから、労働者の就労意識が変化しだしています。また、雇用の流動性が高まったことにより、優秀な人材が良い条件の会社にオファーされ転職してしまうケースが多く見られます。

    本記事では、こうした状況を会社側が防ぐために、優秀な人材が辞めていく職場の特徴や、その改善方法について紹介していきます。


    有能な人材ほど辞める職場の特徴

    はじめに、優秀な人材ほど辞めてしまう会社には、3つの特徴があります。その会社の特徴に当てはまっていないか確認してみましょう。

    1.労働条件や職場の人間関係に問題がある

    1つ目は、労働条件や職場の人間関係に問題があることです。労働条件とは、業務内容だけでなく、給料や労働時間などが含まれます。適切な評価が行われていない場合、優秀であるのにもかかわらず、能力に見合わない給料での労働が行われている可能性があります。

    また、有能な人材に業務が集中していたり、重役を任されている場合には、疲労により本来のパフォーマンスを行えていない可能性があります。それらの労働条件は、本人のモチベーションの低下や成長意欲の低下を引き起こすため、仕事量や条件に気を付ける必要があります。

    特に、古典的な考えが根付いていることによって、職場が意思表示を行いづらい環境であったり、職場内での贔屓など、公平性に欠ける環境であった場合は、ベストを尽くすことができず、ストレスをため込んでしまうこともあります。

    2.周りの社員や組織の熱量が低い

    2つ目は、周りの社員や組織の熱量が低いことです。自身と周りの熱量に大きく差があった場合、ストレスを感じやすくなってしまいます。また、それに引っ張られて自身の仕事への意欲が低下してしまう可能性があります。

    例えば、仕事をしない上司がいる環境です。上司の重要な仕事は、部下を育てることです。部下の育成を十分に行わない上司や、私的な感情を仕事に持ち込む上司は、部下だけでなく会社全体の士気を下げる可能性があります。そのため、会社全体でのポリシーや目標を明確にすることが重要であり、仕事に対する熱量の違いをなくす必要があります。

    3.社員を正当に評価できる人事制度が整っていない

    3つ目は、社員を正当に評価できる人事制度が整っていないことです。

    例えば、以下のような状況が当てはまります。

    • 明確な人事制度があるものの自社の特色にあっていない
    • 人事制度を作ったが、状況の変化により、現在の社内状況にあっていない

    人事制度が整っていないということは、昇進やキャリアアップに必要なスキルや資格、仕事の量や質が不明確であるということです。そうなると、成長の仕方がわからず、キャリアプランを立てることも難しくなってしまいます。

    優秀な人材ほど、成長できる環境ではないことに早い段階で気づくことができてしまうため、実力がついた段階で離職してしまうケースが多いです。


    優秀な人材がやめてしまう理由

    職場に不満を持っている人は少なくありません。実際、優秀な人材がやめてしまう具体的な理由とは何なのでしょうか。

    2024年に働く男女500人を対象に行った「職場への不満」のアンケートがあります。

    出典:株式会社ビズヒッツ「職場への不満」アンケート

    このアンケート結果をもとに、重要度順に主な退職理由を5つ紹介します。

    1.給料や福利厚生など待遇面に不満がある

    1つ目は、給料や福利厚生など待遇面に不満があることです。給料が自身の実力に見合っていなかったり、休暇が少ない状況だと、モチベーションの低下や、ストレスの増加につながります。

    また、優秀な人ほど、ほかの企業から引き抜きの誘いがある場合があります。

    そのような時に、待遇面に不満がある状態だと、優秀な人材は簡単に離職してしまいやすくなります。

    2.業務量や残業が多い

    2つ目は、業務量や残業が多いことです。業務量や残業が多いということは、仕事での拘束時間が長く、休息を十分にとることがとることができない可能性があります。

    また、休息を十分にとることができなければ、睡眠不足やストレスをため込むことにつながり、体調を崩してしまうかもしれません。本来の能力を十分に発揮できる環境でないことは、会社を辞めてしまう理由になる可能性があります。

    3.社内の人間関係が良くない

    3つ目は、社内の人間関係が良くないことです。これは、職種を問わず、多くの人が悩む退職理由です。社内の人間関係が良くない場合、心理的安全性が低いため、発言が制限されたり、意思表示が難しいと感じる人が多いです。

    例えば、以下のような状況です。

    • 社内に特定の人を贔屓している人がいる
    • 部下を大切にしていない上司がいる
    • 嫉妬で足を引っ張ろうとする同僚がいる

    また、そのような状況では、心身ともに負担がかかるため、優秀な人材は離職してしまいやすくなります。

    4.会社からの評価に不満がある

    4つ目は、会社からの評価に不満があることです。優秀な人ほど、上昇志向で成長意欲が高いケースが多いです。なぜなら、目標達成に向けて努力し、達成感を味わうことに喜びを感じる人が多いからです。

    しかし、会社から適切な評価を受けられない場合、どれだけ努力をしても、達成感を得ることはできません。そのため、優秀な人は、評価制度が整っており、努力とそれに伴う成長を適切に評価してくれる会社に、刺激を求めて退職してしまいます。

    5.成長・やりがいを感じない

    5つ目が成長・やりがいを感じないことです。「4.会社からの評価に不満がある」でも、言及しましたが、優秀な人ほど、成長意欲が高いです。また、それに伴い、「やりがい」を重視する人もいます。やりがいを感じる仕事とは、働くことで、満足感や達成感を得ることができ、結果として成果や報酬を受け取れる状態を指します。

    やりがいを感じられない状況として以下を例に挙げます。

    • 能力に対して、簡単な内容の仕事を任されている
    • 仕事に変化がない
    • 人の役に立っていると感じられない

    自身の持っている能力や知識を十分に発揮できない場合、仕事に飽きてしまい、モチベーションややる気を維持するのが難しくなってしまいます。そのため、優秀な人材は刺激を求めて離職してしまいやすくなります。


    優秀な人材が辞めることによるデメリット

    優秀な人材が辞めてしまうことには、さまざまなデメリットがあります。

    1.仕事の成果や質・生産性が低下する

    1つ目は、仕事の成果や質・生産性が低下することです。人員が1人減るだけでも、残された人の仕事量は増加してしまいますが、優秀な人が辞めることは、さらに大きな影響があると考えられます。

    例えば、優秀な人ほど作業効率が高い傾向にあり、1人で担う仕事量が多いです。そのため、優秀な人材が辞めてしまうと、そこの仕事の穴埋めを行う必要があるため、会社全体の業務効率が低下し、業務の質や会社の生産性が低下します。

    また、会社によっては、優秀な人材の育成を積極的に行っているため、大切に育ててきた優秀な人材が退職することは、会社の損失の1つです。

    2.周りの社員のモチベーションが低下する

    2つ目は、周りの社員のモチベーションが低下することです。優秀な人が退職した場合、残された社員は、大きな衝撃を受け、以下のように考え出す可能性があります。

    「なぜ退職したのだろうか…」

    「実は会社側に大きな問題があるのではないだろうか…」

    優秀な人の退職は、残された社員の会社自体への不信感を引き起こす可能性があります。そのため、社員全体のモチベーションの低下につながってしまいます。

    3.他の社員も影響されて辞めてしまう

    3つ目は、ほかの社員も影響されて辞めてしまうことです。優秀な人は、そのほかの社員から慕われていることが多いです。そのため、優秀な人が辞めた場合、それに連鎖してほかの社員が辞めてしまう場合があります。

    他の社員も影響されて辞めてしまう理由として以下のものがあげられます。

    • 会社に不信感を抱いた
    • 優秀な人についていきたい
    • 退職理由に共感した

    優秀な人に連鎖して社員が辞めてしまった場合、深刻な人材不足に陥り、業績にも影響が出る可能性があります。そのため、優秀な人が辞めてしまう上で、1番気をつけておきたいデメリットでもあります。


    優秀な人材がやめる兆候

    優秀な人が辞めてしまう前には、兆候があります。1つ1つ確認していきましょう。

    1.会議での発言が減る

    1つ目は、会議での発言が減少することです。すでに仕事を辞めることを決意している場合、徐々に会社の業務やプロジェクトへの関心が低下していきます。その結果、会議での発言や意思表明を行う機会が減ってしまうことがあります。

    また、意見を受け入れてもらえなかった経験や意見しても会社が変わらなかった経験がある場合、会社側へ期待しなくなってしまうため、発言が減少することがあります。

    2.感情を表に出さなくなる

    2つ目は、感情を表に出さなくなることです。具体的には、無表情や真顔などの表情でいることが多いです。

    離職を考えている人で多い悩みが、将来への不安です。将来の不安や緊張を感じている人は、それを他人に見せたくないという気持ちから、自己保護の一環として感情を内に秘めようとする傾向にあります。

    3.コミュニケーションを避ける

    3つ目は、コミュニケーションを避けることです。転職活動が始まると、経営陣や上司とのコミュニケーションが減っていきます。転職活動をしていることを悟られないようにしようと考えるためです。

    また、離職を決意した段階で、職場への感情的な結びつきが弱まることも理由の1つだと考えられます。

    4.有給休暇を消化し始める

    4つ目は、有給休暇を消化し始めることです。多くの人は、辞める前には、遅刻や半休、残っている有給休暇を取得します。これらの行動から、転職活動が成功し、次の仕事が決まりつつあることが推測できます。また、有給休暇を取得し、面接や試験を受けている可能性もあります。

    このころから、辞める予定の人は、残業を行わなくなり、定時での帰宅が増加する傾向にあります。

    5.デスクや荷物の整理を始める

    5つ目は、デスクや荷物の整理を始めることです。離職予定者がこの段階にある場合、転職先が確定している可能性があります。中には、将来の不安が消えたことによって、表情が以前よりも明るくなる人もいます。

    また、不要物の処分や業務の引継ぎを行い、上司に辞めることを切り出すタイミングを見計らっている段階でもあります。

    【実際の事例】

    実際に弊社で見られた、退職の兆候を紹介します。

    • 普段30分以内にチャットの返信があったのに、急に6時間後に返信が来る日が続いた
    • 会社での雑談に今まで参加していたが、急に参加しなくなった
    • 以前は会議で積極的に発言していたが、発言しなくなり、話を振られた時だけ話すようになった
    • 表情や感情を以前よりも表に出さなくなった

    上記の事例と似た状況にある場合は、優秀な人が辞めてしまう前兆である可能性があるため、注意しましょう。


    優秀な人材がやめてしまう状況を改善するには

    ここまで、優秀な人材が辞めてしまう理由や前兆、それに伴うデメリットなどについて触れてきました。では、優秀な人材が辞めてしまう状況を改善するには、どのようなことに取り組めば良いのでしょうか。順番に確認していきましょう。

    1.コミュニケーション方法を改善する

    1つ目は、コミュニケーション方法の改善です。状況を改善する上で重要なのが、本人の考えを聞き、相手を知ることです。しかし、相手の本心や悩みを聞くことは、簡単なことではありません。そのため、コミュニケーションがとれる機会を積極的につくり、信頼関係を構築していくことが重要です。

    たとえば、最近の悩みや趣味など、自由度の高い内容での1on1ミーティングを定期的に行うなどです。また、信頼関係の構築には時間がかかるため、出勤時や退勤時、休憩時間での小さなコミュニケーションの機会も大切にしましょう。

    2.評価制度を見直す

    2つ目は、評価制度の見直しです。優秀な人材が辞めてしまう理由にもあったように、適切な評価を受けることができ、成長できる環境づくりは重要です。

    例えば、会社全体で目標設定などを行いましょう。目標を定めることで、達成に向けた努力や成長を、客観的に評価することができます。また、それぞれがどのように目標達成に向けたアプローチを行ったのかが明確化されるため、個々の能力にあった評価を行うことができます。

    そして、昇進への具体的な評価基準や評価方法が定められることで、社員のモチベーションの上昇につながり、仕事へのやりがいが戻ってくる可能性があります。

    3.任せる業務の内容や量を見直す

    3つ目は、任せる業務の内容や量の見直しです。任せる業務や内容が適切でない場合、モチベーションの低下に大きく影響します。

    例えば、以下のような状況になっている社員はいませんか。

    • 任せられる業務の量が多すぎる
    • 与えられる業務が簡単過ぎるため、やりがいを感じられない
    • 業務の内容が難しすぎて、消化できない

    従業員の能力は1人1人異なります。そのため、個人の能力や力量について改めて考え、任せる業務を見直すことが大切です。


    【職場環境見直しチェックリスト】

    職場内の人間関係や全体のモチベーションの差は、普段の生活では気づけないことがあります。また、適切な業務量や内容は、その人の能力や成長度合いによって変化します。そのため、自社の現在の状況を理解し、成長できる環境や制度が整っているかを定期的にチェックする必要があります。

    以下は職場環境の見直しチェックリストです。

    〇がある場合は、社員の不満になりやすい部分であり、優秀な人材が退職しやすい状況になってしまっている可能性があるため、改善しましょう。

    1. 給与が能力に対して適切になっているか:〇 / ×
    2. 任せた業務の量が過剰でないかどうか:〇 / ×
    3. 業務内容に本人がやりがいを感じられる要素があるか:〇 / ×
    4. 従業員が意見や提案をしやすい環境が整っているか:〇 / ×
    5. 職場内の贔屓や不公平な状況が生まれていないか:〇 / ×
    6. 従業員のモチベーションに偏りがないか:〇 / ×
    7. 成果や貢献が公正に評価されているか:〇 / ×
    8. 昇進やキャリアパスが明確に定義されているか:〇 / ×
    9. 人事制度が自社の特色とマッチしているか:〇 / ×
    10. 従業員のスキルアップのためのトレーニングや研修が適切に提供されているか:〇 / ×
    11. コミュニケーションがとれる機会を用意しているか:〇 / ×
    12. 企業の文化や価値観が全従業員と共有されているか:〇 / ×
    13. ワークライフバランスや福利厚生が整備されているか:〇 / ×

    まとめ

    優秀な人材を会社で維持していくには、現状や問題を真摯に受け止め、問題を解決しようと動くことが大切です。すでに辞めてしまった場合でも、改めて会社全体を見直すきっかけとし、良い環境づくりについて考えていきましょう。

         

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