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投稿日:2024.10.17(木)
更新日:2024.10.28(月)
労働力不足や人材不足などの理由により、人材紹介は多くの会社で利用されています。中には、人材紹介を業務委託したいと考える企業もあるかもしれません。しかし、人材紹介の業務委託は法律違反となり、罰せられる可能性があるため、安易に選択するべきではありません。
本記事では、人材紹介の業務委託の違法性や違法した場合のペナルティ、法律違反に該当しないケースの紹介と解説を行います。
目次
人材紹介の業務委託は、違法行為に該当します。職業安定法第30条には、「有料の職業紹介事業を行おうとする者は、厚生労働大臣の許可を受けなければならない。」という記載があるため、人材紹介の業務委託は違法となります。
この法律に違反した場合には、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金が科せられる可能性があります。
人材紹介と業務委託はそれぞれ何を指すのでしょうか。以下の表は、人材紹介と業務委託の違いをまとめたものです。それぞれ詳しく解説します。
特長 人材紹介 人材紹介は、企業と求職者の間に仲介者として介入し、雇用関係の成立を斡旋する仕事のことを指します。また、人材紹介は「有料職業紹介事業」と「無料職業紹介事業」の二種類に分かれます。 業務委託 業務委託は、雇用契約によらず、企業が自社の業務の一部、またはすべての業務を外部の企業に依頼することです。依頼できる業務は多岐にわたり、採用業務だけでなく、マーケティングやバックオフィスなどの業務も依頼することができます
人材紹介は、企業と求職者の間に仲介者として介入し、雇用関係の成立を斡旋する仕事のことを指します。厚生労働省が人材紹介と定めている事業は主に以下の2つに分かれます。
【有料職業紹介事業】
職業安定法30条に規定されている営利を目的として職業紹介を行うもの。
【無料職業紹介事業】
職業安定法第33条の規定に基づいて、無償で人材紹介を行うもの。
どちらの人材紹介も、厚生労働省もしくは都道府県労働局長からの許可を得ていない場合は、罰則を受ける可能性があるため、注意しましょう。
業務委託は、雇用契約によらず、企業が自社の業務の一部、またはすべての業務を外部の企業に依頼することです。依頼できる業務は多岐にわたり、採用業務だけでなく、マーケティングやバックオフィスなどの業務も依頼することができます。
これにより、企業のコスト削減、効率化、専門性の確保などを図ることができ、企業はより重要な業務にリソースを集中させることが可能になります。
なぜ人材紹介の業務委託が違法であるのかについて詳しく説明します。主な理由は以下の3つです。
「人材紹介を業務委託で行うのは違法」でも紹介しましたが、人材紹介の業務は、厚生労働省の許可が必要です。そのため、厚生労働省への申請を行い、許可等を得て人材紹介を行うことは問題ありませんが、業務委託などで許可を得ていない事業者が人材紹介や採用活動を行う行為は、違法となります。
また、無償で職業紹介を行った場合にも、同様に罰せられる可能性があるため、留意しましょう。
職業安定法により、名義貸しは禁止されています。具体的には、職業安定法第32条の10にある「有料職業紹介事業者は、自己の名義をもって、他人に有料の職業紹介事業を行わせてはならない」の文がその内容を表しています。
たとえば、人材紹介会社が免許を取得し、無免許の会社に権限を渡して人材紹介の業務を行った際は、名義貸しの行為に当たるため、違法となります。この場合、6か月以下の懲役または30万円以下の罰金を科せられる可能性があります。
労働基準法第6条には、「中間搾取の排除」の内容の記載があります。「中間搾取の排除」とは、第3者が他人の就業に介入して利益を得てはならないことを指しています。具体的に、条文には「法律に基づいて許される場合の外、業として他人の就業に介入して利益を得てはならない」という記載があり、無免許の人材紹介を継続して行う行為は違法とされています。
また、1回限りの行為であったとしても、反復継続する意思を持って行ったと判断された場合には、同様の罰を受ける可能性があります。
ここまで人材紹介の業務委託に関しての解説をしましたが、誤解されやすいものの人材紹介に該当しない場合がいくつかあります。ここでは、以下の2つについて解説します。
労働契約の成立に直接関与しない部分のみの業務委託は、違法になりません。
たとえば、求人や求職の申し込み勧誘を業務委託として依頼することは問題ありません。この場合、労働契約の成立には直接関与しておらず、集客の業務を任せているだけであるため、違法性はないと言えます。
フリーランスや副業は雇用契約に該当しません。そのため、フリーランスや副業の人材を、業務委託先が企業に紹介しても違法性はありません。
しかし、フリーランスや副業だというものの、労働時間や勤務地の制限など社員と同等の労働を行っていた場合には、法律違反として捉えられる可能性もあるため、注意しましょう。
人材紹介会社が職業安全法に違反した場合には、どのようなペナルティがあるのかを紹介します。主なペナルティは以下の3つです。
職業安定法に違反した場合には、一定期間有料職業紹介事業の全部または一部の停止を命じられる可能性があります。これは、職業安定法32条の9第2項によるもので、労働者派遣事業を無許可で行った場合などに科せられます。
業務停止命令を受けた場合、クライアント企業の大半を失ってしまう可能性があるため、注意しましょう。
違反行為が悪質であると判断された場合には、業務停止命令よりも重い「許可の取消し」が行われる可能性があります。また、業務停止命令を受けた段階で、改善の様子が見られなかった場合も同様に許可が取り消される可能性があります。
有料紹介事業の許可が取り消された場合には、2度と人材紹介を行うことはできなくなるため注意が必要です。
職業安定法に違反した場合には、違反した行為によってそれぞれ刑事罰が科せられます。
たとえば、名義貸しや港湾運送業務、建設業務の紹介を行った場合には、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金が科せられます。また、法人の代表者や代理人、その他の従業者が違反行為を行った場合には、行為者だけでなく、法人にも刑事罰が科せられます。そのため、世間的な評価や信頼を落とさないためにも、健全な業務運営を心がけましょう。
なぜ業務委託での人材紹介が増加傾向にあるのでしょうか。その理由を以下の3つに絞って詳しく解説します。
厚生労働省の「職業紹介事業報告書」によると、人材紹介の企業は毎年増加傾向にあります。しかし、人材紹介は労働集約型であるため、リソースの確保が必要です。継続的に売上を上げるためには、企業と求職者の両方で登録者数を増やし、管理やマッチングなどの業務を行わなくてはいけません。
求人と求職者の集客、適切なマッチングを可能にするための人員や仕組みを整える必要があるため、事業の継続において人材の確保は重要です。また、雇用契約の斡旋が成功してから、実際に紹介手数料を得るまでには、多少のタイムラグが発生してしまうため起業後すぐに社員を雇用することは、コスト面で難しい場合が多いです。これが、低コストで人的リソースを確実に確保できる業務委託が注目されている理由の1つです。
業務委託は労働基準法が適用されません。そのため、働き手は自由な時間に好きな方法で仕事を進めることができ、成果を報酬に結び付けることができます。
具体的には、以下の点において自由度が高いです。
また、副業として業務委託を行ったとしても、隙間時間を利用して面談ノルマやマッチングをこなすことができれば、報酬を得ることができるため、労働契約よりも魅力を感じる人も少なくありません。
業務委託での人材紹介は発注する側と受注する側にそれぞれさまざまなメリットがあるため、注目されています。ここでは、それぞれの観点からメリットを解説します。
メリット 発注する側 社員を増やす必要がないため、人材紹介をする社員の教育コストや人件費を削減できる歩合制契約なので固定費を抑えられる社員が自分の仕事に集中できる 受注する側 歩合制のため、実力が給与に反映される会社との雇用関係がないため、自由に働ける
【発注する側】
発注する側には、社員を増やす必要がないため、人材紹介をする社員の教育コストや人件費を削減できるというコスト面におけるメリットがあります。また、歩合制契約なので固定費を抑えられるという利点もあります。さらに、業務を委託することによって、社員が自分の仕事に集中できるため、企業成長に力を入れることができます。
【受注する側】
受注する側は、歩合制のため、実力が給与に反映されるというメリットがあります。また、会社との雇用関係がなく、時間や手法を制限されることないため、自由度が高いこともメリットの1つです。
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ここまで、人材紹介の業務委託における違法性や違反した場合のペナルティ、注目されている理由などについて解説しました。人材紹介は有償と無償どちらの場合でも許可を取る必要があるため、よく確認して事業を行いましょう。
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